- 『BLUE GIANT EXPLORER』世界一のサックスプレーヤーを目指す大の次の舞台はジャズの聖地アメリカ
- 『いつもポケットにショパン』今見ても全く色褪せないキラキラ輝く青春ストーリー
- 『マエストロ』怪しいジジイ、マエストロ天道のペースにぐいぐい引き込まれいくこんなオケ楽しそう
- 『マドモアゼル・モーツァルト』まるで全編がミュージカル!天才音楽家の憎めないあざとさと艶っぽさが匂い立つ
- 『ピアノの森』少年カイの心の拠り所の森のピアノが壊れているのに凛として美しく、まるで少年の心そのもの
- 『愛の歌になりたい』高校生バンドが音楽にかける情熱と恋愛模様がひたむきな青春ミュージック・ストーリー
- 『のだめカンタービレ』不思議少女・野田恵(のだめ)と大好きな先輩千秋が奏でる楽しさ満点のクラシック音楽コメディ
『BLUE GIANT EXPLORER』世界一のサックスプレーヤーを目指す大の次の舞台はジャズの聖地アメリカ

数々のマンガ大賞を受賞しているので知ってる方も多いでしょう、石塚真一先生による漫画『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)シリーズ。
ジャズを題材とした作品で『ビッグコミック』(小学館)にて2013年10号から2016年17号まで連載されて、主に仙台と東京が舞台。続くシリーズ第2部の『Supreme』編ではヨーロッパを舞台に、そして現在第3部アメリカ編「Explorer」が連載中です。
仙台でサックスプレーヤーになることを目指す高校生、宮本大(みやもと だい)が夢見るのではなく世界一になると猪突猛進するストーリー。
勢いとやる気が先走ってた高校生だった大(だい)も世界の異国や多人種の中で揉まれて、今は脂がノリにのってて今後の行方が見逃せません。
『いつもポケットにショパン』今見ても全く色褪せないキラキラ輝く青春ストーリー

音楽漫画を数多く描いているくらもち ふさこ先生ですが、こちらはクラシック音楽を舞台にした物語。漫画雑誌『別冊マーガレット』(集英社)にて1980年2月号から1981年7月号まで連載された全5巻です。
40年以上前の漫画ですが、今見ても全く色褪せず気持ちがズイズイ引き寄せられます。当時生まれてない方でも楽しめること間違いなし。
最近では2018年のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『半分、青い。』で劇中で豊川悦司さんが演じた天才少女マンガ家の「秋風羽織」の作品として起用されてくらもちファンを興奮させました。作中にはショパンをはじめ、ドビュッシーやシューマンなどのクラシック巨匠の音楽作品名が出てきて、実際どんな曲なんだろと調べたくなってしまいます。
『マエストロ』怪しいジジイ、マエストロ天道のペースにぐいぐい引き込まれいくこんなオケ楽しそう

ちょいと破天荒なクラシック交響楽団を舞台にした音楽漫画です。同タイトル『マエストロ!』で松坂桃李さん主演で2015年に映画化もされています。 不況のため解散に追い込まれた交響楽団のメンバーたちが再結成される。しかもスポンサーや事務局など詳細は不明だらけ。指揮者の天道とは一体何者?
とにかく、設定が破天荒。こんなジジイが無名なのに名指揮者という設定が面白いです。不況で失業したオーケストラメンバーたちがジジイ指揮者、天堂の元に再結集。いつも間にかこのジジイマエストロ天道のペースに乗せられ公演に向けて一つの音を奏でているという。幼少期よりピアノを習っていたというさそう先生のものもありクラシックの知識やオーケストラあるあるが序じつに散りばめられています。ユーモアの中に本格的クラシックドラマがあります。
『マドモアゼル・モーツァルト』まるで全編がミュージカル!天才音楽家の憎めないあざとさと艶っぽさが匂い立つ

モーツァルトは、実は女性だった‥?
あまりにも有名な天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが、女性であるという性を世間に隠して音楽界を奔走していくという奇抜な設定で、その性別隠しゆえの周囲の複雑な愛憎とエンタメ要素盛りだくさんのドラマです。
モーツァルトの『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』などのオペラ楽曲がキャラクターの深層心理や時の流れを絶妙にビジュアルされて独特な世界観に仕上がっており、福山先生のベスト漫画とも言える傑作です。 1991年に音楽座によってミュージカルとして初演されています。
劇中音楽を小室哲哉さんが担当し、今も人気のミュージカル作品。
『マドモアゼル・モーツァルト』の詳しい解説の記事はこちらからどうぞ。
『ピアノの森』少年カイの心の拠り所の森のピアノが壊れているのに凛として美しく、まるで少年の心そのもの

主人公の少年一之瀬海(いちのせ・かい)は母怜子と二人暮らしで、町外れの森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育ちます。
カイはかつての天才ピアニスト阿字野壮介によって、ピアノの才能を見出され、開花させてゆく物語です。カイの周囲には、小学校当時からカイをライバル視する同学年で友人の雨宮修平を始め、のちの世界が舞台のショパンコンクールで様々なライバルピアニストが登場します。ただ、カイはいつもブレずに真っ直ぐに自分のピアノを弾き続ける、それはいつもピアノの森が心の中の拠り所として支えとなっているのがわかります。
カイと母怜子がいる「森の端」は風俗店が乱立する歓楽街という逆境下で育つ中、拠り所となる森のピアノがなんとも美しくシンボリックです。緑の木々の木漏れ日が自然のスポットライトのようにピアノを照らして古びて音の出ないはずのピアノがカイの手にかかると魔法のようにキラキラとした音色を奏でて、神々しく冴え見えます。
1−3巻の単行本カバーが少年期のカイが描かれていて、そのファンタジーで光の色の変化や色が混じり合った色彩がモネのようでとても素敵です。儚げな危うい少年時代の中で小さく、そして強く輝くカイの色合いはまさに深く豊かな森を抱える森の主のようです。
『愛の歌になりたい』高校生バンドが音楽にかける情熱と恋愛模様がひたむきな青春ミュージック・ストーリー

高校生がひたむきにプロのミュージシャンを目指す音楽漫画です。80年代後半第二次バンドブームに先駆けてのバンドものですが、当時はまだバンドをテーマにした漫画は珍しかったと思います。
山室葉子(やまむろはこ)は音楽大好きの高校1年生。谷崎怜(れん)に偶然出会いがきっかけで彼の率いるバンドに入ることに。
実は財閥の長男の彼は親に内緒でバンド活動をしており、プロになりレコードデビューを果たすことで親に認めてもらおうという思惑があり、コンテストのグランプリを目指していました。コピーライターの尾津(おづ)がマネージャーとしてサポートしながら、ヒットチャートで1位獲得を目指します。
大人たちが画策する社会の裏事情とは対照的に、高校生の彼らはとにかくひたむきでがむしゃら。葉子と怜の甘酸っぱい恋愛模様や音楽にかける情熱がまさに青春です。夢に向かって未来へ踏み出すまでを描いたミュージック・ストーリー。
『のだめカンタービレ』不思議少女・野田恵(のだめ)と大好きな先輩千秋が奏でる楽しさ満点のクラシック音楽コメディ

アニメ化、ドラマ、実写映画化もされたオーケストラといえばこの漫画。誰が読んでも間違いなく面白いこと請け合いのクラシック音楽マンガです。
音楽大学ピアノ科の学生、“のだめ”こと野田恵と同じピアノ科の先輩で指揮者を目指す千秋真一の恋愛とユーモアと音楽が響音された作品。一度音を聞いたらピアノが弾けてしまうという天才肌の側面を持ちながらも、楽譜が読めないという陽気でがんばるキャラのだめと、飛行機や船の恐怖症のため海外留学ができないという繊細なエリート千秋のユーモアなやりとりが楽しいです。
クラシック音楽に馴染みのない人がそうなのかーと学ぶオーケストラのメンバーのそれぞれの役割や、色々な苦労やシステムなどがわかって、これを読むとクラシックを聞くのがもっと楽しくなるかも。