【漫画】くらもち ふさこ先生の『いつもポケットにショパン』は時代を超えても全く色褪せない音楽青春ストーリー

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音楽漫画を数多く描いているくらもち ふさこ先生ですが、こちらはクラシック音楽を舞台にした物語。漫画雑誌『別冊マーガレット』(集英社)にて1980年2月号から1981年7月号まで連載された全5巻です。

40年以上前の漫画ですが、今見ても全く色褪せず気持ちがズイズイ引き寄せられます。

2018年のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『半分、青い。』で劇中で豊川悦司さんが演じた天才少女マンガ家の「秋風羽織」の作品として起用されてくらもちファンを興奮させました。作中にはショパンをはじめ、ドビュッシーやシューマンなどのクラシック巨匠の音楽作品名が出てきて、実際どんな曲なんだろと調べたくなってしまいます。

有名ピアニストを母にもつ、ちょっぴりコンプレックスのある麻子(あさこ)の小学生から高校生時代の音楽と取り巻く人々を通して成長する物語です。

なかなか感情をうまく表現できない子供時代の麻子。幼馴染の緒方季晋(おがたきしん)に一緒に通うピアノ教室で感じる密かな嫉妬や羨望の心。きしんが中学進学時にドイツへ留学し、そこで列車事故に巻き込まれ、きしんの母は死亡、きしんは重症で失明の恐れがあるという新聞記事を発見し、ショックをウケる麻子。

消息が絶たれたまま、舞台は高校時代へ。麻子はたきしんが日本へ帰国していることを知り、やがて二人はドラマチックな再開をはたしますが、当時の仲良しだった「幼馴染の季晋(きしん)ちゃん」の思い出とは一変した、麻子に対するライバル視が激しい冷たい態度の彼に困惑し、そこから二人の母親同士の過去の因縁が紐解かれていきます。

単なる音楽青春漫画ではなく、そこには幼馴染の季晋(きしん)と麻子の二人の母親のピアニストとしてのライバル関係、麻子の父親をめぐる当時の恋愛関係の確執、それを背負ったきしんの嫉妬や羨望、きしんの母の遺言のトラウマなどが入り混じって二転三転します。

一方、高校生になっても表現の苦手意識のある麻子は学校の音楽教師、松苗先生や友人の影響で生活に触れながら、人間としての成長、ピアニストとしての表現を徐々に開花させてゆきます。

『いつもポケットにショパン』今見ても全く色褪せないキラキラ輝く青春ストーリー

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音楽漫画を数多く描いているくらもち ふさこ先生ですが、こちらはクラシック音楽を舞台にした物語。漫画雑誌『別冊マーガレット』(集英社)にて1980年2月号から1981年7月号まで連載された全5巻です。

40年以上前の漫画ですが、今見ても全く色褪せず気持ちがズイズイ引き寄せられます。当時生まれてない方でも楽しめること間違いなし。

最近では2018年のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)『半分、青い。』で劇中で豊川悦司さんが演じた天才少女マンガ家の「秋風羽織」の作品として起用されてくらもちファンを興奮させました。作中にはショパンをはじめ、ドビュッシーやシューマンなどのクラシック巨匠の音楽作品名が出てきて、実際どんな曲なんだろと調べたくなってしまいます。

キャラクターの指使いや表情で、楽曲の抒情性をイメージできる。

piano, hand, playing

影や目の光かた、演奏者だけではなく、周りの観客の表情で、音楽の音の粒の一つ一つがきらきら輝いているかのようです。くらもち先生の初期作品「糸のきらめき」も煌めきの片鱗はありましたが、ショパンでは表情や全体の作画技術がダントツに成長しています。

*事故で指を故障しピアニストの夢を諦め、シンガーとして才能をはっきするラブストーリー。作中クライマックスでステージ上で歌うヒロインに巻きつく紙テープが客船の出航シーンさながらです。観客とヒロインをつなぐ紙テープたちが「まるでピアノの弦のよう」と表現されています。

くらもち ふさこ先生の描くきしんちゃんのイケメンぶりがやばい

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くらもち先生の描く男性はハズレなく、顔だけでなく行動そのものがイケメンで、いつも胸キュンですが、きしんちゃんも、大当たりです。子供時代のきしんちゃんの影が高校生になった麻子にシャドーして所々後ろ姿などで登場するのですが、一体フルで顔面登場までまだかまだかと、ワクワクさせます。その期待は2巻目の中盤まで引っ張られます。

実際の麻子との再開シーンはローラースケート姿で不良に絡まれた麻子と友人らを助けに颯爽と登場する姿。子供時代の優しく笑顔が印象的なキシンちゃんとは異なる、ちょい悪風で毒げも吐く成長した色素の薄い系のイケメンに成長してるギャップぶり。そのイケメンぶりは女性だけではなく、麻子の学校男性先輩の手の怪我を即座に手当することで、「男がほれる」と言わせしめるほど。

イケメンという言葉は当時は存在してないので使用されてはおらず、キシンちゃんの容貌も色素が薄い系であるという説明以外も作中では美形であるとは特に筆されておりません。ただただ読み手が言わずもがな納得させられてしまう画力と立ち振る舞いでイケメン確定です。

ショパンってどんな人だったんだろう、とクラシックに興味がわくかも

chopin, monument, piano

普段、クラシック音楽は聞かないけどちょっと興味持ってきたと思わせるような作品です。ピアニストを目指す音楽学校生の物語なので、音楽シーンが連続というわけではないので、ガチの音楽漫画を期待するというよりは、クラシックに馴染みがない初心者向けです。

それよりも注目してもらいたいのは心理描写のうまさ。一人一人の人間としての完璧性のなさや、「この人って一見こう見えるけど実はこんな内面もあったんだ」というような人間誰でもある環境が作る外向けの顔とその心に抱える悩みやコンプレックスを見事に描いています。

その良い例が麻子の親友依里(えり)で、うるさくて噂好きでガサツっぽくて欠点だらけの彼女と喧嘩してしまう麻子ですが、そんなえりちゃんだからこそ麻子の理解者なんだと結局仲直りで親友というポジションに復帰するのは、なんだか友人同士でよくある心の葛藤だと思います。

まとめ

ちなみにタイトルの「いつもポケットにショパン」ってどんなパンだろうって子供時代の無知な自分は思ってました。ショパンという言葉にまだ馴染みがないくらい無知だったんですね。

タイトルは作中には一度も出てきません。ただ、ショパンの音色はいつも麻子の周りに生活の一部としてと溶け込んでいて、母やきしんなどのいろんなイベントや思い出が縮図の如くぎゅっと詰まっていてポケットに入れたり取り出したりしながら、きっと麻子たち生きていくんだろうな、とこのタイトルが想像させてくれます。

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