【漫画】人生にとって読む意義を久々に考えさせられた『響 ~小説家になる方法~』は文芸界のスター誕生物語。

少年・青年

「響~小説家になる方法~」 著者:柳本光晴

活字離れが進む世の中、忙しい現代人は読書週間がほとんどない人がとても多いそうです。

最後に本を一冊完読したのっていつだっけ??と遥か遠くの記憶を辿ってしまったあなた、安心してください。自分もその一人です。

「漫画は読むけど、そのほかの活字はほぼ読まない。」、「仕事で必要な検索や閲覧はざっくりするけど、小説や物語を読むのは論外。」、「マニュアル?そんなの取説動画でよくない?」
、って意見の方大多数ですよね、きっと。

でも、ちょっと待ってください。ある小説を一つ読んだだけで人生が変わってしまうことがあるかも。

漫画『~小説家になる方法~』はそんな期待を抱かせてくれる。読書は忙しくてちょっと、という方は、とりあえずこの漫画の世界を覗き込んで本当の小説読む足がかりにしては如何でしょう。

活字離れの実状、年齢が高くなるにつれて読書時間が減る!?

girl reading book
Laundromat Image Photo by Scott Evans

そもそも、活字離れが進んだのはインターネットとスマートフォンの普及が影響大だと個人的には思ってます。

ほんの40年くらい前までは、文字に触れるには図書館だったり本屋だったり、家で読む新聞だったり。でも今はインターネット環境があれば簡単に検索や情報が閲覧でき、インドアの余暇の過ごし方がオンライン化、多様化してます。そんな時代にじっくり小説を読む人は、本当の小説好きと言えるでしょう。

20~40代までの男女300名にhontoが行ったアンケート調査によると、1日の平均読書時間はわずか30分前後との統計が出ています。

特に小学生の読書量が激減しているそうです。学研教育総合研究所の小学生白書Web版によると、1ヶ月の小学生の平均読書数は3.1冊、30年前の平均9.1冊から比較するとわずか3分の1に。

デジタルネイティヴ世代の小学生は空いた時間はスマホやゲームや動画閲覧に費やされ、活字の本を電子書籍で読むのはわずか6分。

読書時間は学年による差があり、小学1年生の平均読書率が3.8冊なのに比べ、3年生になると1か月に1冊も「読まない」子どもが4人に1人になっています。

つまり、年齢が高くなるにつれ、読書量が減少する傾向ということですね。

大体スマホは小さい画面でスワイプしながら流れていく文字やキーワードをスキムするのには向いてるけど、じっくり読み込むクロスリーディングには向いてないので、スマホが常用化した人にとっては

じっくり本を読むということが苦痛に感じたり、集中が続かない人が多いのではないでしょうか。


※1 (出典)honto、 調査タイトル: 読書についてのアンケート 調査期間: 2014年12月2日~12月4日 調査方法: インターネットリサーチ 調査対象: 全国20歳~49歳の男女300名

※2 (出典)学研教育総合研究所、 小学生白書Web版、2019年8月調査「小学生の日常生活·学習に関する調査」小学生とその保護者1200組(各学年200組、男女各100組)を対象に実施

テーマは不況が続く純文学

pen, ink, fountain pen-631332.jpg

柳本光晴先生による『響~小説家になる方法~』(響は”ひびき”と読む。作中のヒロインの名前)は2017年のマンガ大賞を受賞したり、2018年には欅坂46元メンバーの平手友梨奈さん主演で、実写映画化もされているヒット作です。

しっかり読むことをやめてしまった現代人たちに、ありそうでなかった現代の純文学の天才をテーマにする漫画。

正直、小説を執筆する文学少女が主人公ってどうなの?どこまで面白くストーリーを膨らませるの?

サッカーや野球やテニスのスポーツや音楽の芸術の中での天才を描いたテーマはたくさんあるけど、純文学にハマってる高校生の少女ってあまり絵にならないし、実際作中でも主人公のことを「根暗文学オタク」などと周りから言われたりして、どうストーリーを作るのか難しくないか?と思うのですが、そこは作者の技量であれよあれよと話が進み、主人公はスター街道をまっしぐら。

出版業界の中でも、純文学はがすでにピークを過ぎ年々がシェアが縮小している現状ですが、

あえてこの不況業界のテーマをベースに少女の作品が世の中に旋風を巻き起こしていきます。

『響~小説家になる方法~』のあらすじ

あまり詳しく説明すると、ネタバレになっちゃうので、これから楽しく読見たい方に支障がない程度にあらすじを紹介します。

不況に苦しむ文芸業界のと文芸雑誌「木蓮」の編集部に届いた小説の新人賞応募作品『お伽の庭』。連絡先は不明で作者は鮎喰響(あくいひびき)という名前だけ。やり手の若手編集者、花井ふみは、読んだ瞬間これが文芸界に変革をもたらす傑作だと直感し、文芸界の命運を握るこの作者を探しに躍起になります。

『お伽の庭』の作者が高校1年生で、しかも口よりも手が先に出るとんでもなくぶっ飛んだ少女とわかり、驚愕する花井ふみ、しかし、響の才能を確信したふみは、小説の新人賞へ響の作品を正式に応募させ、作品を読んだものたちに多大な影響を与えてゆく。

言っておきますがこの物語は、最初は素人だけど、磨けば光るダイヤの原石のような素材を持っていて、やがてはその才能が芽生えて開花していく、というようなスポーツや演劇や音楽ドラマにありがちな「成長物語」ではありません。

響は最初から周りが慄く天才なんです。もちろん作品を書くにつれてより磨かれていく部分はあれど、生まれて初めて描いた小説がすでに本にできるくらいのクオリティの高さなんです。

変わっていくのは響の小説を読んだ周りの人たち。

響の桁外れの才能を周りの大人は放っておきません。

現役女子高生作家としてデビューした、響の勢いは止まらず、文芸界から他マスコミやメディアをも巻き込み、まさに文芸界の時代を変えるスターとなるのです。

そのスター誕生物語が畳みかけるようにどんどん進んでいき、展開に目が離せません。

主人公、響の天才度と破天荒さに注目。

girl reading
A girl reading books, photo by sumeet B

響は齢15歳の高校生だけれど、センセーショナルな社会現象を起こしてしまうほどの才能の持ち主。

それを育もう、あるいは利用しようとするあざとい業界の大人たち。

ページ: 1 2

タイトルとURLをコピーしました