【読書】紙の本、電子書籍 、オーディオブック、選ぶならどれが良いのか?

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smiling toddler holding red balloon
Photo by Alyssa Stevenson

「本を読む」と言うと、以前は紙の本だけでしたが、今では電子書籍やオーディオブックなど複数の媒体の選択肢があります。

伝統的な紙媒体から、デジタルに移行しているトレンドの中、まだまだ紙書籍の愛好家も多いようです。

結局どれを選べば良いのか、研究結果なども交えてメリット、デメリットをあげてみました。

出版市場の2021年上半期の動向は

2021 年 7 月 26 日に出版業界の調査・研究機関である公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の『出版月報』7 月号で、2021 年上半期(1~6 月期累計)の出版市場規模が発表されました。(※1)

紙と電子を合わせた出版市場は前年同期比8.6%増の 8,632 億円のプラス成長。内訳は、紙の市場が同 4.2% 増で 6,445 億円、電子出版が同 24.1%増の 2,187 億円、と 2 割超の伸びを示しました。

出版市場界における電子出版のシェアは25.3%と連続で上昇し続けています。

※出版市場規模/出典『出版月報 7 月号』団法人全国出版協会・出版科学研究所

電子出版市場の内訳は電子コミックがダントツでシェアは約 9 割に 同 25.9%増の 1,903 億円、電子書籍が同 20.9%増の 231 億円、電子雑誌が同 11. 7%減の 53 億円でした。

一方、オーディオブックの市場も新参でありながらも急速に拡大しており、2021年度は約140億円から2024年度のオーディオブック市場は約260億円規模になるとと予測されています。(※2)

※オーディオブック市場規模・予測/出典 PRTIMES


※1 (出典)団法人全国出版協会・出版科学研究所、 タイトル: 『出版月報 7 月号』

※2 (出典)PRTIMES、 タイトル: オーディオブック市場規模・予測

電子書籍は場所を取らず安価なので、今後も市場が拡大し続ける

person holding black Amazon Kindle e-book reader
Photo by Hristo Fidanov on Pexels

出版業界のIT化により今までは紙一辺倒だった書籍のデジタルフォーマット化が進み、電子書籍市場は今後も拡大していくと予測されています。

アメリカやイギリスでは電子書籍が2013年から2014年頃にピークを迎えた後、意外と落ち着いてしまったとも言われおり、今後は緩やかな上昇傾向にあります。

電子書籍の最大のメリットはやはり場所を取らないということでしょう。

紙の本はとにかく、保管スペースが必要で、重いので引っ越しなどの移動時も大変です。

またデジタル媒体は紙が劣化するという心配もなく、データがあり限り半永久的に同じクオリティの画質で楽しめます。

通勤の電車や、休憩時間にスマホやタブレットでサクッと読めるというモバイルな生活に対応しています。

紙の本に比べて安価です。

ただ、最大のデメリットは目が疲れること

LEDのスクリーンを長時間見続けると、ドライアイや眼精疲労は視力の低下の要因にもなるし、読む姿勢が紙の本に比べて首が下によりがちなので、肩こりの原因にもなります。

Kindleなどの光の明暗が通常の液晶モニターと比べて少ない電子ペーパーは目が比較的疲れにくいようです。

お風呂など水回りのあるところで使用するなら、防水加工付きの電子リーダーがおすすめ。

勉強するなら紙の本が理解が深まる

man holding and reading book while standing inside library

電子辞書が紙書籍にとってかわり、紙の本がなくなる日も近い、などと行っている人もいますが、紙の書籍はやはり生き残り続けるのはないでしょうか。

紙の書籍の利点はなんといっても紙に触れて感触を味わえる、物質的な重みが感じられる点でしょう。

スクリーンモニターに比べ紙は目にも優しく、バッテリーがない状態でも使えます。

3Dの変化を楽しむポップアップブック、装丁が綺麗なアート系、インテリア系の本、イラストレーションが美しい絵本などは紙媒体を買うべしです。

前項で触れたように、デジタル書籍で9割を占めるコミックですが、最近では紙書籍ファンのために、ホログラム加工などで表紙がより見て楽しめるようになっています。

帯の存在も捨てがたく、加工された表紙のテクスチャーを触る、光によって変わる色を楽しむ、帯をめくって楽しみ方も紙の本ならでは。

もっとも注目したいのは、勉強の効率性です。

紙の書籍はデジタル書籍よりも本のコンテンツの理解度が深まるという複数の分析による結果も出ています。

ノルウェーの学者による研究では15歳~16歳の72人の生徒を対象としたテストで、紙の印刷物で読んだ学生の方がデジタル画面でテキストを読んだ学生よりも読解力に優れていると言う結果が出ています。(※1)

さらに1~8歳の子供たちの読解力の発達の初期段階にあるステージ置いて、ノルウェー・スタヴァンゲル大学のナタリア·クシルコワ博士、アイリーン·フレネス博士らは、デジタル絵本の選ぶときは注意するよう促しています。(※2)

博士たちの研究によると、ナレーションなど、ストーリーに関連づいた拡張機能のついたデジタル本は、紙の絵本より読解力が高くなるけれども、そうではない機能は集中力を妨げられて読解力が下がるというテスト結果が出ています。辞書機能も語彙力の面では有効なれど、ストーリーの読解力においては妨げになると言うことでした。

集中や読解の発達段階に置いて書籍選びや、近くでサポートするなど必要があるようです。

葉っぱのページを上にめくると野菜が出てくる仕掛け絵本

「やさいさん (PETIT POOKA)」は葉っぱのページを上にめくると野菜が出てくる 0~3歳児向けの仕掛け絵本です。

読み聞かせをするならこんな素敵なイラストの楽しい紙の絵本がいいですね。


※1(出典)International Journal of Educational Research Volume 58, 2013, タイトル: Reading linear texts on paper versus computer screen: Effects on reading comprehension

※2(出典)Sage Journals, March 8, 2021 タイトル: A Comparison of Children’s Reading on Paper Versus Screen: A Meta-Analysis

オーディオブック市場は2024年には260億円規模に

Black corded headphones with colorful books in between
Photo by Stas Knop on Pexels

電子書籍と比べるとまだ認知度が低いですが、市場が年々拡大しているのがオーディオブック。

声優やナレーターがコンテンツを朗読した、音声データの本です。小説のみに限らず、講演や落語、講談などの話芸などユニークなジャンルがあります。

オーディオの良いところはなんといってもスキマ時間の有効活用です。

目で活字を追う必要がないし、手を使う必要もない。音楽やラジオを聴く感覚で

車の運転中、散歩、ジョギング中、家事の最中、食事中、就寝前にデバイスとヘッドセット、または(ビルトイン)スピーカさえあればどこでも聞けます。

読み飛ばしや、読み返しがしずらいし、音声から文字を起こすのは大変なので、仕事や勉強向きではなく、エンターテインメント向きと言えます。

意外ですが、30年代から40年代の利用が多いようです。日頃忙しくてなかなか読む時間がない、働き盛りの世代にとって、テキストを読むのに比べサラッと流して聞けるからでしょう。

日本のオーディオブックの市場は、2021年度は約140億円から2024年度のオーディオブック市場は約260億円規模になるとと予測されています。(※1)

世界規模では、オーディオブックの市場は、コロナ禍による図書館や大学施設の施設がクローズしているにもかかわらず成長しており、予測期間2021年から2025年の期間、19%の年平均成長率はで12億3000万米ドルまで成長すると推定されています。(※2)

スマホのオーディオブックアプリが近頃増えてきましたが、初心者ならAmazonが運営しているAudibleからはじめるのがおすすめです。

Audible(オーディブル)

収録冊数は40万冊以上とコンテンツが豊富でAndroidとiOSの両方に対応しており、全般ジャンルがあるのでお気に入りの本が見つけやすいでしょう。

Audibleは1ヶ月無料で体験できるので、自分に合うか合わないか、オーディオブックの使い心地を試してみてはいかがでしょう。


※1(出典)PRTIMES、 タイトル: オーディオブック市場規模・予測

※2(出典)MarketWatch  May 25, 2021、 タイトル: Audiobook Market Size, Share 2021|Global Leading Players, Industry Updates, Future Growth, Business Prospects, Type, Application, Global Industry Analysis, and Forecast to 2025

まとめ

それぞれ良さがあるので、優劣を決めるのではなく、用途によって使い分けるのがおすすめです。

  • 紙の本:勉強、仕事などで何度も読み返して熟考したいもの。装丁などが美しいアート系本。
  • 電子書籍:コミックならまずこれ。通勤、通学などスキマ時間でサラッと読める内容のもの。
  • オーディオブック:脳や目が疲れている時、手が塞がってる時のながら聴き、エンタメ利用。

出版業界のデジタル化によってユーザーにとって様々な選択肢があるのは読み手にとってありがたいことです。

今後は、本媒体のデジタル化だけではなく、流通の過程がデジタル化したことによって、ユーザーの検索、閲覧、購入などの行動履歴の情報を収集し、より個人の嗜好に最適化した情報(おすすめ本等)や広告の配信をする、というビックデータのビジネス化がこれからますます拡大していくことでしょう。

アメリカではアマゾンなどの巨大プラットフォーム企業によるデータの独占傾向、また世界的にコピーライトを無視した海賊版の問題など、解決すべき課題が山積みされています。

個人的には、新しいコンテンツはもちろん、廃盤になった本のデジタル復刻版など、過去の優良なコンテンツの作品も、作者の著作権限が尊厳された健全なマーケットの環境で、我々ユーザーに配信されて欲しいなと思います。

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